ふたりが話しながら森を進んでいくと、
山脇から老道士が声をかけてきました。
偽道士:「お、お前さんたちは蓮華洞の者だろう?
わたしは蓬莱山の道士。金角大王と銀角大王とは
昔から親しくしている。
何しに行くんだね?ち、力を貸してやろうか。」
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ふたり:「蓬莱の道士…確かに大王たちは交流があったな。
仙人さま?宴に呼ばれたのかもしれないな。」ボソボソ
精細鬼:「私たちは大王様のご命令で、孫悟空という猿を
封じ込めに行くのです。」
偽道士:「ほほぅ…。孫悟空とは天界を騒がせた暴れ者だろう。
そなたたちは優秀なのだなぁ。妖力で倒すのかい。」
伶俐虫:「いえいえ、この宝物で奴を吸い込むのですよ。
名前を呼ぶだけだから私たちにもできるのです。」
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偽道士:「(そりゃまたえらく単純だな。名前を呼ぶだけ?)」
少し訝しがった偽道士(悟空)ですが、山の神と土地の神に
仕込まれたとおり、だまして奪うための演技を続けました。
偽道士:「私の宝物を見せてやろう。お前さん達の葫蘆よりすごいぞ。
なんてったって『天』が入るのだから。」